Computational Methods for Metabolic Reconstruction

  • タイトルなど
    • Computational methods for metabolic reconstruction
    • Pitkanen et al., Curr Opin Biotechnol. (2010)
  • 僕とこの論文の関係
    • 読込度:★★☆☆☆
    • 専門性:★★★☆☆
    • 面白度:★★★☆☆
  • 素人解説
    • ゲノム配列の解読ペースは,指数関数的に増加し続けている。ゲノム配列から代謝ネットワークを再構築することにより,ゲノム配列解読の成果を代謝工学,代謝異常疾患の研究,寄生微生物の有害性の予測,医薬ターゲットの同定,代謝ネットワーク構造の解析などに繋げることが可能になる。新たに配列が解読された生物種の代謝について理解するためには,高精度な代謝ネットワークの再構築が重要な課題のひとつだと言える。
    • しかしながら,代謝ネットワークの再構築が行われている生物種の数は,ゲノムが解読済みの生物種数のたったの 1 % である。これは,既存の代謝ネットワーク再構築の方法がマニュアルキュレーションを必要とする,とても手間ひまを必要とするものだからである。

At present stage, metabolic reconstruction is a process which involves a multistep workflow and a high amount of manual labour.
...
In practice, many different workflows exist, which utilize different computational tools. Characteristic to all workflows is the use of many tools in conjunction, and a high degree of manual work required.

    • ここで紹介するレビュー論文では,代謝ネットワーク再構築を自動化するバイオインフォマティックスの方法についてまとめてある。
  • 代謝ネットワーク再構築問題の種類と範囲
    • Enzyme function prediction:ある酵素がどのような代謝反応を行うかを予測する。言い換えれば,遺伝子 ID と代謝反応 ID (e.g. EC number and KO number) とを関連づける。Machine learning approach と Annotation transfer based approach とがある。そして,代謝反応 ID を "universal database" にマップすることで,解析対象のゲノムと対応する代謝ネットワークを再構築することができる。universal database とは,BioCyc/MetaCyc や KEGG PATHWAY のように,様々な生物種がコードしている代謝反応をひとまとめにして再構築した代謝ネットワークである。universal database のどの反応が対象ゲノムにコードされているかを代謝反応 ID から知ることができるプラットホームを,BioCyc/MetaCyc や KEGG は提供してくれている。そのため,あるゲノムにコードされている代謝反応 ID のリストを得ることができれば,そこから universal database を介して,代謝ネットワークの再構築ができるのだ。
    • Inferring the presence of metabolic pathways:Universal database 中のある代謝パスウェイが解析対象のゲノムによってコードされているかを予測する問題。代謝パスウェイには複数の代謝酵素が関わるが,それらの代謝酵素をひとつひとつ扱うのが Enzyme function prediction 問題であり,パスウェイがあるかないかを推定するのがこの問題である。代謝ネットワーク再構築問題にパスウェイの概念を加えることで,"pathway hole" という新たな概念が登場する。pathway-hole とは,あるゲノムにコードされていると推定されたパスウェイに含まれる代謝反応群の中で,その反応を触媒する酵素が見つかっていない代謝反応のことである。pathway-hole は,transcriptome data を用いて埋める手法が提案されている。
    • Explorative pathway prediction:universal database を利用せずに代謝ネットワークを再構築する手法である。そのため既知の代謝ネットワーク構造と矛盾する場合があり,そのような矛盾を解決するアプローチとして,graph-theoretic path finding approach と constraint-based framework が紹介されている。(あまり興味がないので,それ以上は読み込まなかった。)
    • Reconstruction in whole-network context:代謝流速均衡解析に基づいた代謝ネットワークの再構築の方法が紹介されている。このようなアプローチは,pathway-hole を埋めることにも有用らしい。また MASS データを用いた代謝ネットワークの再構築の方法も紹介されていた。(あまり興味がないので,それ以上は読み込まなかった。)